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居場所を探す(1) [住]

 今、部屋を2つもっている。
 元々、保証人の問題で賃貸をあきらめざるを得なくなったとき、23区内に新築の1LDKを、ある程度は終の棲家にするつもりで買ったものだ。そのときに、今後は物欲を抑えて、このパッケージの中で収まるようにするつもりでいた。当初はうまくいっていたのだが、ある時を境にうまくいかなくなってしまった。

 それまで、実家で暮らしていた母親を、諸般の事情で引き受けなければならなくなった。それまでは団地とはいえ3DKに独りで住んでいたのだ。いくら荷物を整理したと行っても、人一人が普通に生活しようとしたらそれなりに荷物はある。おまけに、こちらもようやっと!LDKに納めていたような状況だ。結果はあきらかで、部屋の中は荷物だらけになった。正直、これはかなり参った。結局、母親は実家に近い、といってもそれなりの田舎の老人ホームに行くことになったのだが、そのときにまたかなりの荷物を置いていくことになった。
 結局、飽和状態の部屋の中で生活するという状況が続いた。

 ここで一念発起しててきぱき片付けていたらまだましだったのだろうが、ちょうどその頃から鬱をこじらせて、休職することになってしまったくらいにひどくなってしまった。部屋の片付けどころか、身辺について気を回す余裕がなくなってしまった。見切りで復職したものの、どうも完治したというわけではなく、おまけに職場が結構忙しいところであったため、うちに帰ってさて、という気になかなかなれない。ストレス解消に買い込むものも増えてきて、しかも片付けられないため、人を呼ぶどころか、立ち入りさえかなり厳しい、ゴミだめのような部屋になってしまっている、というのが現状だ。

 そんな折、母親から連絡が入り、また一緒に暮らせないかという話が舞い込んできた。結論から言うと、その頃から軽い認知症にかかり始めており、昼間、家を空けるような環境にとても置いておくわけにはいかないからそのまま老人ホームにいた方がいいと言うことだったのだが、話が来た頃には、とてもそんなことは判らなかった。……とにかく、ある程度広い部屋を確保しないと、今度は生活すら成り立たなくなる。
 幸いというべきか、今度は、若干の頭金にする程度の蓄えがあった。とはいえ、マンションの買い換えは大変だし、手の届く物件は年式が古いので、かなりしっかり調査をしないといけないが、そんな時間も手間もかけられなかった。

 その時に、ふと思い出したのが、年上の友人が住んでいる団地のことだった。郊外にあるその団地は、元の実家と同じ年に建てられていた。それなら、友人宅と元の実家とで、およその勝手はわかる。それにその時点ですでに築37年だったので、価格も住み替えでなく買い増しできる位のものだった。そのくらいなので、会社提携の銀行が取り扱っているセカンドハウスローンでもあっさり通ってしまった。もちろん、両方の払いとなると大変ではあるが、それでも家庭持ちの4LDKとかのマンション持ちよりは可処分所得が多い分、なんとかなる。

 で、契約したあとで、母親の認知症のことを知る。まぁ、寝たきりとかになるならまた話は変わってくるかもしれないが、当面は、一人で2部屋を使えるということになってしまった。

(つづく)

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